ネパールのビール

今回は、吉田直哉氏のエッセイにある「ネパールのビール」のお話をご紹介します。

吉田はテレビのディレクターで演出家という肩書きの方。『日本の素顔』や『太閤記』といった作品で知っているという方もいるかもしれません。

その吉田が、撮影でネパールを訪れた時のことがこの「ネパールのビール」です。ネットで検索すると出てくるので、興味がある方は検索してみてください。

吉田が訪れたネパールの村は、その当時、水道・電気・ガスといったものはなく、車も道路もないような場所。撮影機材は、ポーターと呼ばれる人に運んでもらうことに。当然、無駄なものは運べないので、まずあきらめたのがビールだったそう。(アルコールなら、ウイスキーなどの度数が高いものの方が効率的ですから。)

ある日、撮影を終えて一言「ああ、ここに冷えたビールがあったらなあ」と発した言葉に、村の少年が「僕が買ってきてあげる」と反応し、お願いすることに。ビールがある隣の村までは、往復3時間の道のり。でも、少年は暗くなる前にビールを5本抱えて帰って来た。

翌日もその少年にビールをもっと買ってきてもらうことになる。現地の子どもからすると大金を私送り出すわけだが、夜になっても帰ってこない。一日経っても戻らず…二日経っても戻らず…いろんなことが頭をよぎる。事故にあったんじゃないか。お金を持って逃げたんじゃないか。いや、やはり事故にあったんじゃないか…

三日目に少年は帰って来た。隣の村にはビールが3本しかなかったので、山をいくつも越した別の峠の村まで行ったと言うのだ。しかも、途中転んでビールを割ってしまったと、ビールと割れた瓶、そしておつりを吉田に渡した。

吉田は泣いた。あんなに泣いたことはないというくらい泣いて、反省した。

これが、その話の概要です。

この話を聞いて、私は涙が出そうになりましたが、皆さんは何を感じたでしょうか。

アンガーマネジメント的に、この話の大事なところは、自分の価値観(思い込み・妄想)だけで判断すると「後悔」につながりやすいということです。

概要には書きませんでしたが、少年の子は、舞台となるこの村よりも小さな村から来ている貧しい少年だそうです。藁のベッドに寝て、小さなランプの下で腹ばいになって勉強するしかない小さな部屋に住んでいるそうです。もしかしたら、そんな少年の背景から、お金を持って逃げるということを妄想してしまったのかもしれません。

だからこそ、少年のことを疑ってしまったことやネパールの環境もよく理解しないまま自分の欲のために少年を遠くに行かせたことを後悔し、反省したのではないかと推測します。本人はもっともっといろんなことを感じたのではないかと思いますが。

怒りは、何かを守ろうとする「防衛感情」です。吉田は、自分のお金を持ち去った(かもしれない)ことに対して、もしくは、少年を事故に合わせてしまった(かもしれない)ことに対して怒りを感じ、そのきっかけを与えてしまった自分を守ろうとしたのかもしれません。

後悔することがないよう、自分の価値観だけではなく、その反対側にいる者の話も聞いてから判断できる人間になりたいですし、何より、そんな後悔を引き起こすようなことを選択しない自分になりたいですね。


アンガーマネジメントは怒りで後悔しないようになることを目的とした心理トレーニングです。入門講座を毎月一度開催していますので、興味を持たれた方はぜひご受講ください。Zoomを使ってオンライン開催していますので、ご自宅・職場から参加が可能です。

▼お申し込みはこちら
https://miraikikaku.org/service/seminar/

企業・団体様向けの研修も承っておりますのでご相談ください。


私が出演するあづみ野FM「火曜もほっこりハッピータイム」は、毎月第一と第三火曜日の16:00~18:00に生放送しています。リンク先にある「ON AIR」をクリックすれば全国どこからでも聞くことができます。

▼あづみ野FMはこちら
https://azuminofm.co.jp/


投稿者: 代表プロフィール

日本アンガーマネジメント協会 アンガーマネジメントファシリテーター🄬 アンガーマネジメントコンサルタント🄬 高校卒業後アメリカへ留学し気象学を専攻。帰国後は長野県内の大手製造メーカーにてオンラインマーケティングの戦略立案・企画推進・グローバル管理を15年ほど経験。組織と人のつながりを見せることで、部下も上司も自ら動き出すことに気付き、人の成長に影響することの面白さと喜びとを体感。 アンガーマネジメントを取り入れた人材育成や、愉しくプロアクティブに仕事に向かえるアサーティブコミュニケーションなど、人の心が動き出す研修・セミナーを企業&個人向けに提供している。

コメントを残す